されどロックな日々 - ANNEX

「されどロックな日々」、別館 (ANNEX) でございます (^^)

オリジナル曲か? カバー曲か? 古典的かつ哲学的、あるいは神学論的な。 その1

 

アマチュアミュージシャン”の端くれとして活動を始めてから、ン十年が経つ。

その間、ときとして大いに盛り上がったりする話題があった。

「オリジナル曲をやるべきか? カバー曲にすべきか?」
という、あれである。
古典的かつ哲学的。
あるいは神学論的な議論と言っても良い(笑)。
かような“命題”(?)の性格上、正解は存在しない。

僕が回答するなら。
自分がやりたいものをやれば良い。
これに尽きる。
オリジナルか、カバーかなど、考える必要もなく、ただひたすら自分の本能に導かれるまま、やりたい楽曲をやればよろしいと思うのである。

音楽の本質はコミュニケーションであり自己表現ってことらしいが、オリジナルをやろうがカバーをやろうが、どのみち両方とも完遂することは不可能ではないはず。
洋の東西を問わず、伝説的ミュージシャン、スーパースターとカテゴライズされるような方々でも、カバーはいくらでもやっているわけだし。

要するに。
考えるだけ、議論するだけ時間の無駄という気もするのだが、バンドのリハの後などにこの話題を持ち出したりすると、勢い盛り上がったりするので、場を熱くする効能があるという点からは、実に役割のあるトピックなのやもしれぬ。
酒席の場持ちが悪くなったらど~ぞみたいな(笑)。

ところで。
昨今のアマチュアミュージシャン界隈の傾向として、オリジナル曲を回避、いや忌避すらするような風潮があるような気がする。
某“短文型SNS”なんかで、例えば『オリジナル曲禁止』とか検索してみる。
あるわあるわ、出て来るわ。
ざくざくと。

要するに、アマチュアによる音楽の現場では、オリジナル曲が嫌われている。
とまでは言わないにしても(苦笑)、まあ、あまり歓迎されていない状況となっていることは否めないようだ。
僕が参加する企画などでも、オリジナル曲をやる人はごくごく限られているケースがほとんど。
やはり、根本的にやりたがる人が少なくなって来ているような、あるいはあまり好かれていないような気がするのである。

なぜか。
「歌詞は使い古された言葉の羅列、メロディはいかにもありがちで陳腐なシロモノ。レベルの低い『オリジナル曲』を聴かされるのはツラい」

「自分の歌詞の世界に入り込み、自己陶酔して歌ってる姿がキモイ」

「皆が知っていて、皆で盛り上がれるカバー曲の方がイイ!」

 

このあたりが、オリジナル曲否定派の主たるポイントかと思われる。
んでもって。
断言してしまおう。
これらはすべて正しい(笑)。
オリジナル曲をやる頻度の高い自らを省みてつとに思う。
あ~、オレ、人様に迷惑かけてるな~。

ええ、ええ、かような自覚はあります。
ありますとも。
十分に。
十二分に。
いや、二十分に、あるいはそれ以上に。
それでもなお。
やはりオリジナル曲に拘泥してしまう自分がいるわけで、聴いてくださっている方々にはいつも御礼を申し上げつつ、密かに詫びをも入れていたりするわけで。

そういえば。
ここ数年、YouTube などヴァーチュアルではもちろん、リアルでも超人気のグループがある。
他でもない、Goosehouse である。
あそこが一気にブレイクしたのも、カバー曲によるところが極めて大きいと思う。
とにかく、世にある名曲の数々を実に上手く、巧みにアレンジし、圧倒的な歌唱力と演奏力で聴かせる、見せる。
使われている楽器はアコギやエレピなど、実にシンプルな編成なのに、とんでもなく魅力的なコンテンツとして魅せている。

この Goosehouse さん、単に動画を見ているだけでも楽しい。

しかし、自分で歌ったり演奏したりするアマチュアミュージシャンにとっては、様々な面から参考となるヒントがてんこ盛りだったりして、「あ~、この曲はこういう風にやればいいのか~」と学ぶところ、得るところ極めて大だったりもする。
マチュア界隈において、オリジナル曲よりもカバー曲が好まれる風潮には、Goosehouse のようなトレンドも少しく影響を与えているような気がする。

とはいえ。
なお。
僕個人的には。
やはりオリジナル曲で行きたいと思うのである。
そしてまた、人のオリジナル曲を聴いてみたいという嗜好があるのである。

何といっても、歌っている人、演奏している人の個性というか、その人にしか出せない世界というか、とにかくその人ならではのものが見えるのは、やはりオリジナル曲であると思われ。

「カバー曲でだって、いくらでも個性は出せるっしょ」
はい、その通りです。
でも、オリジナル曲の方がその人の人となりというか、人間くささのようなものがより鮮明に見えるような気がして圧倒的に面白いのである。
少なくとも、僕にとっては。

 

『オリジナル曲禁止』なんて言葉を検索しても、「検索結果と一致するものはありません」というメッセージが出るような時代が来ることを夢見つつ(無理か。笑)、細々とでも良いから、とにかくオリジナル曲をやって行きたい、聴いて行きたいと改めて思う土曜の夕刻なのであった。

(※その2に続く)