マーチン D-28 に3種類のマイクをセッティング ~ 山本彩の場合 @ AKB48「365日の紙飛行機」
今さらながらだけれども。
AKB48「365日の紙飛行機」なのである。
NHK 朝ドラ「あさが来た」のテーマソングである。
Aメロの出だしが水色の街みたいだし。
歌詞が教条的すぎる。
てか、そもそも AKB とか興味ないし(BABYMETAL には入れ込んでるけど)。
とか何とか色々あって、まったく興味がわかなかった。
しかしながら。
たまたま目にしたこの動画にはブッ飛んでしまった。
文字通り、椅子から転げ落ちた。
他でもない。
NMB48 の山本彩がマーチン D-28 で弾き語りをやっている動画である。
イイ。
実にイイ。
弾き語りの手本のようなステージングである。
まず何よりも立ち姿が美しい。
美しすぎる。
凄みのある美しさというか。
そして、歌っている表情が良い。
オーディエンスへのアイコンタクトも上手いし、プレゼンとかで良く言われる、いわゆる”デリバリー”が全般的かつ圧倒的に上手い。
そして、声が気持ち良い。
心地良すぎる。
アイドルがアーティストをやるといかにすごいことになるか。
それを垣間見たような気がした。
鬼に金棒。
ウルトラマンにこん棒。
ヴィジュアル的にはアイドルとして。
音楽的にはアーティストとして。
一粒で2度愉しませてくれる山本さんは本物なのであった。
AKB48 公式で見られる MV/PV も悪くはないが、僕にとってはどうにもありがち過ぎて退屈。
しかし、この山本彩ソロのスタジオライヴは秀逸かつ珠玉のパフォーマンス、実に強烈すぎる。
んでもって。
ギタリストとしての山本彩である。
色々調べてみると、このお方、かなり歴戦のギタリストのようで。
中学時代にはバンド組んでバリバリのロックギタリストやってたみたいだし。
D-28 での弾き語りが堂に入っているのもうなずけようというもの。
ところで、この D-28 である。
山本彩嬢が表紙を飾る『アコースティックギターマガジン』2016年秋号(Vol. 70)によれば、このギターは「和音が柔らかくって、きれいにスーッと入ってくる感じです」とのこと。
確かに、この動画からも豊かな倍音に恵まれた素晴らしいサウンドを聴くことができる。
動画を見ると、どうやら3種類のマイクで音作りをしているようで。
某スタジオのオーナーさん(仮にT氏としておこう)によれば、3種類のマイクを使っている理由として考えられるのは、スタジオ内PA用と放送用を分けてバランスしている可能性大、スタジオ用はハウリングとの関係上ピエゾの比率が高く、放送用は音質重視でマイク2本からの音をメインにしているのではとのご指摘。
納得。
さて、そのマイクたちである。
1つ目は、ブリッジ下に埋め込まれているであろうピエゾ。
動画内では、エンドピンからシールドケーブルが出ているのが確認できる。
アコギマガジンによれば、フィッシュマン製のピックアップとのこと。
同誌グラビア写真では、サウンドホールから少しだけその配線が顔を出している。
2つ目は、ギターの前に立てられたガンマイクのようなルックスのマイクである。
サウンドホールのネック側を狙うような形でセッティングされている、黒くて細オモテのマイクだ。
T氏によれば、これは Shure SM57 であろうとのこと。オフマイク気味だし、メインには使っていないようだし、恐らくは低音や空気感を補っているのではとの見解。
3つ目は、ギターの側板下側からツツーッと伸びている、実に怪しげな(笑)マイクである。
T氏によれば、これはおそらく DPA VO4099 であろうとのこと。
「コンデンサーらしく感度が良く、近くを通る人の足音まで拾うので、ボーカルも相当かぶる」のではとのお話。
その性格上、ハウリングを起こし易いので、スタジオ用には少し混ぜている程度で、放送用はこれがメインではないかとのこと。有識者ならではのお言葉である。
ちなみに気になるそのお値段、千葉にある通販で有名な某楽器屋さんでは、税抜き5万円程度の値札が付いているようだ。
ライヴなどでの使い勝手の良さやパフォーマンスの高さを考えれば、決して高くはない買い物のようにも思えたのだが、現物を実際に試したことのあるT氏によれば、このアイテム、なかなかに強者らしい。いわば、使用者を選ぶヤツというかw
まず48Vファントム電源が必要。また、ギター用アタッチメントはあるものの、ケーブル処理含め、全般的なセッティングにそれなりの時間を要する。
よって、プロフェッショナルなプレーヤーが1時間くらいのステージでじっくり使うケースで、かつ事前テストやPA側の準備もちゃんと出来る環境が必要なのではとのことであった。
そもそもこの DPA というメーカー、基本的に、アマチュアユースというよりはプロユース寄りの製品を作っている会社という位置づけのようだ。
山本彩自身のステージングもすごいけれども、使っている機材にもさりげなくも確実に色々と創意工夫がなされていて、さすがはプロなのであった。
ギター弾きの末席を汚す自分にとっては、今後も要チェックな逸材として、新たにブックマークすべき対象となったのでありました。
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