されどロックな日々 - ANNEX

「されどロックな日々」、別館 (ANNEX) でございます (^^)

ビートルズとの遭遇

※ 以下、M氏こと門前まるお氏の話


中学2年の頃だった。


同級生の某女子、仮にちゃー子としておこう、そいつがやたらと洋楽に詳しかった。
で、私はちゃー子やその一派たちが、何だか偉そうに洋楽についてウンチクを語っているのが何となくうざかった。


「やっぱり基本はビートルズよねえ」


いろいろとヨタ話をした後、結局いつも帰結するのは、『ビートルズ』というアメリカだかヨーロッパだかのバンドがすごいってことだった。


「うぜえ……」


今でこそ、ビートルズがどんな立ち位置にあるグループで、どんな音楽をやっていたか、いくらビートルズ嫌いの私でも少しく語ることができる。


でも、当時、東京の田舎方面に住んでいた私にとって、ビートルズがどういうグループなのか、まったく見当が付かなかった。
もとより、どうでも良かったし。
大体において、音楽には全然興味がなかったし。


「オオヤマ君や門前君は音楽聴く人なの?」


地元の食品工場へ社会見学に行くグループ編成で、私はちゃー子と同じ班になった。
顔合わせの後、ちゃー子は私やオオヤマという男にこう訊いて来た。


オオヤマは「あったりめえじゃん!」と言って、ビートルズのメンバーだとか楽曲だとかについて、ざっと開陳した。
オオヤマもちゃー子がビートルズファンだということを、良く知っていたようだ。


ちゃー子は「へえー、良く知ってるね!」と言って満足げであった。


「門前君は?」
「別に……」
「聴かないのお? ビートルズ
「うん」
「やだ、信じらんない」


ちゃー子は素っ頓狂な声を上げた。
オオヤマはぷっと吹き出してニヤニヤしている。


うぜえ……。


「名前ぐらいは知ってるよね」
「いちお……」
「聴いてみてよ、今度テープ持ってくるからさ」


まあ、悪い奴ではなかったのであろう。
社会見学で同じ班になったメンバーと交流を図ろうとか、そんな程度のことだったのかもしれない。


思い返せば、これがビートルズとの最初の遭遇であった。

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