されどロックな日々 - ANNEX

「されどロックな日々」、別館 (ANNEX) でございます (^^)

さくら学院担任、森先生の魅力を考える。その3 〜 作家がビルトインされた演者は天下無敵なのである


【作家がビルトインされた演者は天下無敵なのである】


聞けば、ゆいもあは平成11年生まれだそうで。
いえ、もちろん1999年生まれということは知っていたのですが。
平成11年生まれであることは知らなかったです

年号は最近使わないもんで。
注意を払っておらず。
寡聞にして存じ上げず。
迂闊にして気づかず。

ふ〜。
それにしても。

ゆいもあは平成2ケタ生まれだったんすね。

あれは、平成生まれがティーンエイジャーになり始めたころだった。
「平成生まれがやって来る、ヤァヤァヤァ」なんて曲をやってるインディーズ系のアーティストがいたりして、ほ〜、そ〜なんだ〜、平成生まれが出て来始めてるんだ〜と、柄にもなく感慨にふけってみたことがあったけれども、今や平成2ケタ生まれが世の中に影響力を発揮し始めているわけで、昭和2ケタ生まれの僕としてはますますおっさん意識というか、じいや意識のようなものが醸成されつつあることを鈍感ながらも感じ取る次第なのである。

んでもって。

森ハヤシ先生である。
僕と同じ昭和2ケタ生まれのお方である。
お仲間である。
良かった〜。
年はだいぶ違うけれどもw


ある人物の性格やら特徴やらを見るにベストな方法は、リアクションを見ることであるらしい。

ひとつの事象に対して、どういう反応をするか。
それを見ることによって、その人間のキャラクターがあぶり出されて行くとか。

映画やTVドラマで、登場人物のキャラの違いを見せるための最も簡単で最も効果的なのは、リアクションで見せて行くというアプローチらしい。

森先生は、生徒たちに対して、基本的に容赦ない。
あえて生徒の感情を不安定にさせるような状況を作り出す。
窮地に追い込むといっても良い。
リングサイドに追い込む。
壁ぎわまで詰め寄る。

見ているほうは、自分が推しているメンバーが追い込まれれば、一気にヒートアップし、「頑張れ!」みたく感情移入することもあるわけで。

その先生の“アクション”に対して。
生徒がどうリアクションするか。

一見荒っぽく見えるアプローチではあるが、そこから生徒各人の個性、キャラクター、そして何よりも魅力が引き出され、見ている者の前に鮮やかに描き出されるのであるから、森先生の手腕は誠に見事と言うほかはない。


ところで。
僕が会社員をやっていたころのこと、新人教育を担当した経験がいかにエグかったかについては、前々回のエントリーで触れた。
若い女子のグループを相手にすることが、どれだけ面倒で大変なことか。
自らの経験に基づき、僕は僕なりに理解しているつもりだ。
うら若き女子たちを相手にしている森先生を羨ましいと思うと同時に、恐ろしく大変であろうな〜とつい察してしまう所以である。

当時を振り返ってみた場合、なぜ新人女子たちの扱いに難儀したかというと、結局のところ、女子たちに嫌われたくないというような心理が、僕の無意識のどこかで働いており、それがボトルネックとなって、自分の態度とか立ち位置が曖昧になっていたような気がする。

相手は女子といえども、もう社会人なんだから厳しく!ということはアタマでわかっていても、いざ現場に出ると、なかなか難しかった。

ときには叱ることももちろんあったが、男としては結局年下の女子たちに嫌われるのがイヤで、最終的な部分では詰めが甘かったように思う。
新人女子たちの前で、ついイイ人を演じてしまったというかw

当時の僕が目指し、憧れていたのは。
怖いけどカッコイイところの、そう、まるで堀ちえみが出ていた80年代CAドラマの教官のような存在であったような気がする。

とりあえずのアテンプトはしてみたものの、目標達成には至らず。

松本千秋のようなドジでのろまなカメはいなかったし、のちに2時間ドラマの女王になるお方もいなかったし、僕は僕で風間杜夫扮するところの村沢教官にはなれなかったわけでw

その点、森先生は一貫して強面(こわおもて)である。
態度は徹底しており、立ち位置も明確である。
あの悪魔のような高笑いをもって。
ときとして完璧なまでのヒールであり、お情け一切無用、圧倒的な悪役もやってのける。
嫌われることもいとわずといった風情なのである。
年頃の女子たちを向こうに回し、堂々たるもの。

実に羨ましいことだ。
それでいて、仕事きっちり、女子たちのキャラをしっかり引っ張り出し、見ているほうをエンタテインしてしまうのであるから、やはりスゴ腕なのである。

このあたり、やはり先生の根底にはしっかりと愛情があり、それを生徒たちも理解しているからこそという気もする。
互いに信頼関係ががっつり構築されているというか。

といいつつ。
裏では、先生によるえこひいきとか、先生をめぐる女の戦いとか、乱闘騒ぎとかドロドロがあったらワクワクするな〜。
とか思ってしまう僕はお下品です、はい。

さくら学院さんは上品なアイドルグループなんだから、そーゆーことゆーのやめてもらえます?

(m´・ω・`)m


森先生の面白さやすごさを考えるに当たって、看過できないことがもう一点ある。
すなわち先生が作家でもあるという点である。

プロフィールを見ると、映画やTVドラマ、芝居など、そうそうたる作品の作家、脚本家をやっている。

要するに、さくら学院の担任教師という役割を持つ“演者”でありつつも、同時に“作家”としての目も持っているわけだ。

演者“森先生”にどういうアクションを取らせれば最も面白くなるかを、作家“森ハヤシ”が常にモニターしていて、2人がコンスタントなコミュニケーションを密に取り合い、臨機応変の対応を取らせているイメージ。
要するに担任教師としてだけ突っ走るのではなく、常に作家としてワッチしているもう一人が内蔵されているという感じで。

ひとつの場面をどう面白くするか、あるいは興味深くするかを、作家が瞬時に判断し、演者に伝えているというか。

それは例えば、こう出れば相手はこう出る。
だから、ここではこう出てみようみたいなコミュニケーションである。

もちろん相手は年頃の女子たちであるがゆえ、その予測が外れるようなことも大いにあるわけで、そのあたりの予測〜微調整みたいなタイミングを両者でキャッチボールしている、みたいな。

演者の中に作家がビルトインされているのであるから、天下無敵の存在なのもわかろうというもの。

森ハヤシという人は、すごいことをやってのけていながら、見ている方にすごいことをやっていると思わせないところがすごいのであると、僕はすごく思うのである。