されどロックな日々 - ANNEX

「されどロックな日々」、別館 (ANNEX) でございます (^^)

青春Hシリーズ


(注)2011年12月18日付けの、このエントリーでは青春Hシリーズの第1弾から18弾までについて触れてある。
2012年中に公開された、第19弾から25弾までの作品群や感想等については、2013年6月30日付けのエントリーにまとめてみた↓ (なお、2013年に公開された作品についても、少しだけ触れてある)
http://d.hatena.ne.jp/ken_tabise/20130630


青春Hシリーズという、単館系映画作品のシリーズがある。

私はシリーズ第1作目から直近18作目までをすべて劇場鑑賞し、作品によってはDVDも見ている(少し偉そう:笑)。

これまでの作品群は以下のとおり。

<ファーストシーズン>

1. making of LOVE
2. ゴーストキス
3. 狼の時代
4. Date ... デート
5. カレーのにおい
6. ピラニ
7. イチジクコバチ
8. 再会
9. ring my bell
10. 終わってる

<セカンドシーズン>

1. 超・悪人
2. 若きロッテちゃんの悩み
3. 絵のない夢
4. ソーローなんてくだらない
5. 花つみ
6. 半分処女とゼロ男
7. Wild Flower
8. エレナー電気工業


これら作品に☆を付けてみた。

☆☆☆☆☆(傑作):4作品
☆☆☆☆(秀作):4作品
☆☆☆(佳作):6作品
☆☆(商業映画としていかがなものか):3作品
☆(商業映画としてあり得ない):1作品


☆☆☆☆☆(星5つ)の作品

making of LOVE
東京最終日@ポレポレ東中野のことは今でも鮮明に覚えている。
とにかく大盛況、劇場内は人であふれ返っていた。立ち見とか通路にざぶとん座りとかまでが出て、会場が笑いに包まれ、私自身も大いに楽しませてもらった。宣伝とかプロモが大事なのはもちろんだが、力のある作品には自然と人が集まるというのもまた真実であろう。フェイクドキュメンタリーからフィクション、そこから特撮へとテンポ良く進んで行き、時間が過ぎるのを忘れてしまった。
個人的には監督が作品に出て来る映画は嫌いなのだけれども、この作品は別。断然おもしろいから二重マルというか。

『イチジクコバチ
圧倒的に暗い話なのに、なぜか圧倒的に魅力のある作品であった。
舞台あいさつにおける、主演女優、水井真希のトークが何気に秀逸。さりげなくしゃべっているようで、結構モノゴトの核心を突いているような気がした。

『終わってる』
プチ群像劇……みたいな?
しじみの好演が本作品のキモであろう。
近い将来、個性派女優として大ブレークの予感。
現代という時代をうまく掬い取り昇華させた作品という印象。

『ソーローなんてくだらない』
ソーローは取るに足らないこと……では断じてない!というスタンス。
それを男女関係にうまく編み込んだ作品。
面白く、おかしく、切なく。
ヒロインの梅野渚という女優、つい先日見た『鵜野』という作品で好演していた。
主役の男子も、男っぽくも繊細なキャラをうまく演じていた。


これら4作品はいずれも見終わった後、「やられた」感が残り、劇場を出るときに(TVドラマではなく)「映画を見たな〜」という感覚に満たされた作品。
劇場では2回、3回とすべてリピート鑑賞した作品。DVDでももちろん見たし。
主役、また準主役級が魅力的な人物であることは、良い映画の必須であると再確認した次第。キャラクターの造形ですね。
その他、演出、設定、構成、セリフなどもアタマひとつふたつ抜きん出た作品ばかり。


☆☆☆☆(星4つ)の作品

『ゴーストキス』
作品全体を流れるあの不思議な感じは何なのだろう。棒読みの女優さんたちが後半から良くなってくる。ナンセンス感を漂わせつつも、それが何だかとても不思議な感じを醸し出している、やっぱり不思議な作品。

『超・悪人』
主役は極悪非道の極み、言語道断(笑)。ライター役の清瀬やえこという女優が好演。
割り切ってずばりと悪人を表現している感あり。恐ろしいシーンで笑いが起こるのはなぜ?(笑)

『若きロッテちゃんの悩み』
ミイラ化した母親を車に積んだまま、半年間放置していたのは年金を止められないようにするため……という何気に時宜にかなった作品。男女間の人間関係もうまく描かれていた。

『絵のない夢』
盲目の人を演じる悪い奴ら(笑)。「カネがないなら障害者になれ」ってあなた……(笑)。バンギャものというのも良い。佐々木基子という人の演技が実に光っていた。エンディングがシュール。


こうやって改めて4作品の名前を並べてみると、やっぱり2回見たのがあるし、DVDも複数回見てるのばっかり。


☆☆☆(星3つ)の作品

詳細略(笑)。
十分に佳作で、映画館で見る最低ラインはしっかり持っていると思った作品。
映画にカネを払い、劇場に足を運ぶ側の人間としては、最低このレベルはきっちり保持してもらいたいと思うのであった。

☆☆(星2つ)作品と☆(星1つ)作品は、正直なところ、劇場公開するレベルにはないと思われた作品。自主映画として身内に見せるんならアリなんだろうけど……みたいな。

特に☆(星1つ)作品に関しては、その質があまりにひどくて決定的にあり得ないと感じた。

とはいえ、
「もしかして、劇場鑑賞した日は体調が悪くてちゃんと見ていなかったのではないか?」
「本当は面白い作品なのに、自分に鑑賞眼が足りなかったのではないか?」
などの疑問が頭をよぎったため、DVDが出てから、確認の意味でレンタルし、もう1度見たのであった。

結果、やっぱり駄作であった。自分の目がおかしいわけではないことに一安心(笑)。


ちなみに、最も最近に見たのは『エレナー電気工業』という作品で、例によって上映初回、12月18日舞台挨拶付きの回で見た@ポレポレ東中野

なかなかの佳作というところで、星3つかなあ。

ただ、毎作品、初回上映時にはポレポレの前2列は完全に埋まるのに、今回はガラガラであったのが非常に気になった。

どして? やっぱりいくら土曜の夜とはいえ、12月中旬だと皆忙しいのでしょうか。劇場公開のタイミングって難しいんだろうなあ……やっぱり。

作品としては……儲からない町工場の兄弟という設定がイイ。
冒頭に出て来る、野獣のような声を上げての絡み合いは「ツカミはOK」狙いなのかもしれないが、作品全体のトーンを考えれば必ずしも必要ではないという感じ。“事後”の語り合いのシーンから始まっても全然自然でしょう。
全体を通して考えた場合、余計な音楽も流れたりせず、淡々とした作風だが、中盤前後、主役男子とめがね女子との関係が始まるところからドラマが一気に展開して行く感じ。
めがね女子のキャラクター造形は良かった。ブスカワ系の立ち位置で地味に登場するも、終盤ではひょっとして可愛いのか?と思わせるに十分なキャラに変わり、ストーリー上でもキーパーソンになって行く。
兄弟のキャラは良かったし、彼ら二人と母親とのダイアログも面白かった。


青春Hシリーズ、サードシーズンがあるのかどうかは知らないが、時として傑作や秀作が出て来るのは事実なので、まだまだ今後には期待したいところ。