されどロックな日々 - ANNEX

「されどロックな日々」、別館 (ANNEX) でございます (^^)

BABYMETAL 〜 その殺人的魅力w を考える。その2

掲題について、主として 9/13-14 幕張2daysを回顧しつつ、考えてみたりした。


【もくじ】(みたいなもの)

1.BABYMETAL が止まらない
2.開演前
3.BABYMETAL たち
(1) Su
(2) Moa
(3) Yui
4.神バンド
5.MOSH’SH
6.グッズ
7.来賓の皆様
8.諸々のこと
9.BABYMETAL の向かう先
10.BABYMETAL がやめられない


今回は2回目なので、その2、「開演前」ってことで書いてみたい。

毎度のことかもしれないけれど、ベビメタのライヴは開場前(ホールの外)、開演前(ホールの中)でも120%楽しいです。

異様なまでの盛り上がりを見せていたコスプレの周辺部をはじめとして、完全なる祭り状態だった幕張メッセ前のことから、開演の瞬間、あの強烈な衝撃波〜圧縮を食らうまでのことなど……。

皆さん、ベビメタが好きで好きで、まあとにかく好きで好きで、さらにもっと好きで好きでしょうがない、もうどうしたらいいの、どうしてくれんの、好きすぎて悶絶死しそうだわよというような人たちがたくさんいたような気がする。

ベビメタに対するリスペクト、そして何よりもやっぱり『愛』……ですかねw

いずれにせよ、とても良いことだと思った。
そういうものが浮遊している時間と空間に自らの身を置くことは、とても心地良かったわけで。


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2. 開演前 〜 BEFORE THE SHOW


2014年9月13日土曜、午後3時前。
天候晴れ。

僕はJR新橋駅にいた。
ホームで山手線を待っていたら、視界にベビメタの黒Tを着た人が飛び込んで来た。
日本で言うところのメイトさん、海外で言うところの”Babymetaller”である。

たぶん向こうも気づいたはず。
メタルエイリアンのTシャツを着こんだロンゲの男に。

なぜならば、そのお方は僕の姿を見かけるや否や、さっと横を向いて電車待ちの列に加わったからである。単に僕が嫌がられただけかもしれないがw

ちなみに、僕の黒Tは、7月はロンドンのライヴヴューイングのとき、Zepp Tokyo で買ったもの。
現時点で、僕が持っている唯一のベビメタTシャツなのである。

グリーンの車両がホームに走り込んで来、止まったところで、さっさと乗り込む。
いきなり目に入ってきたのが、カタカナで『ベビーメタル』と描かれたTシャツだった。

またもやメイトさんに遭遇である。
あのTシャツを着ているところからすると、結構古参というか、ベテランのメイトさんなのであろう(オークションとかで買ったのなら、話は別だろうけれども)。

それにしても、あのカタカナTシャツは圧倒的にカッコ良い。
是非また作って欲しいTシャツのひとつである。
下手なアルファベットや飾り文字よりも、カタカナのほうがストレートで何か強烈に伝わって来るものがある。
あのフォントというか字体がいかにも「メタル」なのも二重マル。


山手線のひとつの車両の中に、僕を含め3人のメイトさんが乗っていた。
お互い、むやみに話しかけたりはしない。
大人ですけえ、当たり前かw
適度な距離を保ちながら、3人三様東京駅に向かう。

東京駅。
僕は、午後一番でちょっとしたライヴに参加していたため、ギターやらバックパックやらを持っていた。
ベビメタを見るというのに、アリーナへギターケースなどをノコノコ持ち込んで行ったりしたら大変なことになる。
荒波でもまれている海に、ギターを抱いて飛び込むようなものだ。
まあ、アリーナに持ち込むも何も、それ以前の問題として、係員に引き止められるだろうけれどもw

駅の手荷物一時預かりにギターを委ね、急いで京葉線ホームに向かう。

コンコース上には結構まとまった数のメイトさんたちがいた。
4〜5人の黒Tグループもいる。
僕の体内にアドレナリンが放出された。
動く歩道ももどかしく、僕は早足でずんずんと歩いて京葉線のホームへと向かった。

プラットホーム上。
いる、いる。
たくさんいる。
まさに『軍団』と言っても良いくらいのアタマ数だ。
一気に気分が高揚する。


JR海浜幕張駅から幕張メッセに向かう人々の列には、明らかに2つの流れがあった。
ひとつはブラックTに身を包んだ寒色系軍団。
もうひとつは、カラフルで様々なデザインの服に身を包んだ暖色系軍団である。

前者はハード&へヴィで世界でも唯一無二 ”kawaii metal” の女子3人組とそのバンドを観に行く人たち。
後者はスウィートでファンシーな、フォークの爽やか系男子デュオを観に行く人たち。ちなみにそのグループ名をゆずという。

互いに異質なのは一目瞭然。
幕張メッセに向かって歩きながら、そのコントラストをながめているのが、何気に結構面白かった。

異質同士ながら、ひとつ共通していたのは、キツネのお面であろうか。
ゆずキツネさんのお面には『新世界』という文字が刻まれていた。
そういえば、ひょっとこのお面も見かけた。

僕が幕張メッセに到着したのは16時前、開場約30分前。
そんな時間の到着だったから、グッズの購入などはもちろん問題外、完全なるホウプレス状態。
パーカー、フード付きタオル、ギミチョコTシャツを狙っていたのだが、とりあえず「明日買えばいっか」であった。

開場前の幕張メッセ前は完全なる祭り状態。

ベビメタライヴの必須アイテムであり、正装でもあるベビメタ黒Tシャツに身を包んだ人たちに混ざって、ベビメタコスプレや神バンドコスプレの人たちがいた。

皆さん、かなり本格的である。

小さな女の子たちのコスプレは本物に匹敵するほど可愛かったし、家族連れとその友人衆らしき(?)グループの完成度の高さには心底驚かされた。

ご本人たちがご満悦だったのはもちろんだが、周囲の黒T軍団も写真を撮ったり一緒に写ったりして楽しんでいた。

周囲まで皆、笑顔にしてしまうコスプレの破壊力。
素晴らしすぎた。

僕も Leda さんや大村さんぐらい髪が伸びてしまっているので、次回参戦の暁には神バンドのコスプレでもしようかと画策しているw

比較的ショートの連れには、『ボサボサ長髪かつら』とか、ヘヴィメタル関係者ご用達のロン毛のウィッグでもかぶせておけば良いと思われ。
さもなければ、ベビーボーンの格好をさせるのも一興か。


ベビメタのファンが実に多彩であるということはちょっとした発見だった。
例えば6〜7月のO-EAST公演とは異なり、今回は年齢層も広く、下は3〜4歳から上はおそらく70代半ばぐらいの方々まで、文字通り老いも若きも男も女もひしめいているという状況だった。


僕は直接見なかったのだが、YouTubeなどを見ると、かの有名なセーラー服おじさんも参戦されていたようだ。
あのお方、数年前からネット界隈を大いににぎやかしているけれども、結構なインテリという説もありw、個人的には興味津々なので一度はお会いしてみたいところ。

そういえば、ロン毛にヒゲに立派な胸毛の、白のショーパン穿いた外人さんがだいぶ場を盛り上げていた。いかついガタイに赤いリボンが妙に似合っていたのが印象的w

ベビメタのライヴが楽しいのは、ファン層の厚さによるところも決して少なくはないと、改めて認識した次第。

恐らくは、すべての人たちに共通していたこと。
それは、やはりベビメタが好きで好きでしょうがないといった気持ちであろう。
BABYMETAL に対する大きな『愛』と言ってもほとんど許されるレベル?
何かこう大きなところで自分と共通の部分がある人たちという感じで、僕としても非常に心地良かった。


クロークにバックパックを預けて、いよいよアリーナ入場待ちの列に加わる。
340番はかなり後ろのほうに思えた。

列を見回すと、周囲は戦闘準備完了という人がほとんど。
僕が密かに注目していたのは、メイトさんたちの靴である。
特にアリーナ参戦の場合は、靴が極めて重要なファクターだったりする。

当然のように、サンダルや草履の人はいない。
冗談ではなく、アリーナではほとんど自殺行為に近いといえるw
皆さん、スニーカーがディフォルト。

中にはハイトップのミリタリーシューズ(軍靴w)っぽいのを履いた人や、トレッキングシューズを履いている人もいたりして、皆さんやる気十分。
スニーカーだった僕は、いったん列から離れて、紐をがっつりと締め直した次第。

また、バックパックやショルダーなど、表に出ている荷物を持っているような人は「ほぼ」いなかった。
持っていたとしても、身体にぴったりと貼りつくような、斜め掛けのミニショルダーバッグ程度。

ふだんは不用心極まりない僕ですら、ジーンズのポケットに財布、iPhone、家のカギ類が入っているだけという軽装備にしてあった。

しかるに、中には紙袋だとかちょっと高級ちっくなビジネスバッグなど、手荷物を持っている人がいなくもなくて、アリーナで一体どうするのだろうと他人事ながら気になったりした(壁際に置いておくとか?)。

16時半、ほとんど定刻通りにドアが開き、入場が始まった。
周囲の話し声のボリュームやトーンも、ぐんぐん上昇して行く。
たぶんだけれども、連れと話していた僕の声も、少しずつ上ずっていたのではないかと思う。

メッセの建物の中に入ったと同時に、皆さん、自然と早歩きにw
中にはしっかり小走りになっている人もいた。

その気持ち、良くわかる。
しかし、そこはオトナな僕たちであるw
冷静にトイレを探す。
さすがに個室までは必要なかったが、体内のタンクに水分が一滴も残らないように、しっかり用を足しておいた。

トイレを出たと同時に、アリーナAブロックに向けて一気にダッシュ
もう冷静になっている場合ではない。
その必要もない。
いくらかでも前のほうにポジションを確保したい。

その一心でほの暗い会場に走り込む。
が、すぐ渋滞wに阻まれる。

何なの? こっちは急いでるのに。

最終のチケットチェック、ブロックの確認だった。

340番という番号、実際にはさほど悪くなかった。
というか、思っていたよりもかなり良かった。

概算で前から6〜7列目、そのセンターにポジションを確保することができたからである。
ステージとアリーナの間は5メートル程度空いていたが、それでも僕とステージとの距離は15メートルもない。
僕たちは文字通り小躍りした。
人目も憚らずw

そう、この時点ではまだアリーナAブロックにも「小躍り」する程度のスペースは十分にあったのである。
人と人との間には適度な空間が存在していた。


BGMはもちろんお約束のメタルナンバー。
いかにも“あのお方”の好みらしく、有名なメタルバンドのナンバーがほとんど。
もはや興奮するなという方が無理である。

ライヴで一番盛り上がるのは、ラストでもなければ、アンコールでもない。
開演直後にピークとなり、その後10分程度持続してから徐々にピークアウト。
その後ラストに向けて、再度徐々に上昇して行くという話を聞いたことがある。
人によって差はあるだろうが、ほぼその通りだと思う。

そうこうしているうちに、注意事項のアナウンスメントが入る。
要するに他人に迷惑をかける行為は慎みましょうってことだ。

私見ながら、あのアナウンスは1回だけで良いと思う。
なぜなら、あの場で「もうすぐ開演」みたいなニュアンスを数回にわたって聞かされるというのは、僕にとってはほとんど拷問に近いからだ。

どういうきっかけだったのかはわからないが、スタンド席にいる特定の外人さんがいきなり皆の注目を浴びたりして、会場のほぼ全体がドッと大きく沸くことがあった。
まあ、お目立ち系の方が多かったような気もするけれどもw

とにかく、今か今かと待ち切れない空気が会場全体に充満していた。
外人さんの一件に限らず、ちょっとしたことにもオーディエンスが敏感に反応し、その都度大きな歓声が上がったり、拍手が起こったりしていた。

BGMに合わせて大合唱というのも、大ホールならではの醍醐味であろうか。

僕にとっては、全部が全部知っている曲ではなかったけれども、そんなことはどうでも良い。
とにかく大声を出さずにはいられなかった。

アリーナの興奮、そのレベルメーターは、あっさりとグリーンゾーンを突破しイエローゾーンに突入、すでにレッドゾーンに向けて急上昇していた。

まだかな……。
ずいぶん引っ張るよな〜!
などと雑談をしていたら、客電がすっと暗くなった。

オーロラビジョンのどでかいスクリーンに映像が映し出された。

と同時に、後ろから強烈な衝撃波が僕の身体全体を襲った。

コントロールを失った僕は、普通なら前につんのめり、豪快に転ぶはずなのだが、前にいたメイトさんの背中に瞬間的に圧着させられたため、転ぶヒマすらなかった。

転倒こそしなかったものの、後ろと左右から強烈な圧力が来て前に押し付けられ、動かされ、気づいてみれば、元いた場所からかなりステージに近い場所へ一気に移動させられていた。

BABYMETAL のライヴが始まった、その瞬間である。
オープニングは、いつも通りショートムービー。

そのムービーが一通り終わると、神バンドによる『Death』のイントロが始まり、女王様とお姫様たち2人が可愛さを醸し出しつつも、威風堂々の貫録で登場。

3人の登場によって、それまでの圧縮率がさらに10倍増になったかのような、まるで肺が押しつぶされるかのような、強烈な圧縮が僕の身体に容赦なく襲いかかって来た。

いや。
それでも。
日本に凱旋した3人の雄姿を超至近距離で見られるのは、至上の喜び。

BABYMETAL ワールドツアーの日本公演初日は、いよいよ疾風怒濤のライヴへと突入して行くのであった。

(以下、3.へ続く)