されどロックな日々 - ANNEX

「されどロックな日々」、別館 (ANNEX) でございます (^^)

第3.5回ガンダーラ映画祭 presented by イメージリングス

昨晩観戦したイベント、第3.5回ガンダーラ映画祭@ロフトプラスワン、これが実に面白かった。
決して大きな会場で催されたイベントではなかったが、内容は恐ろしく充実していた。
私が知らなかったことも実に多く、ちょっと震えましたね、ほんとに。

配られたペーパーには、平野勝之園子温向井康介、前田弘二、矢口史靖いまおかしんじ山下敦弘井土紀州古澤健井口昇、その他、今メジャーシーンで活躍している人たちの名前がずらりと並んでいた。

かつて、彼らが“萌芽”の状態にあったとき、どのような映画を撮っていたのか、あるいは俳優等どのような形で映画にかかわっていたのかが良くわかったし、何というか、かつては皆様、ずいぶんとトンガってたんだなあと実感。

こういう、将来の金の卵たちを見つけ出し、発表の場を持たせ、育てて行ったしまだゆきやすというお方は、なるほど偉大であり色んな人たちに慕われたわけだ。ひょうきんな写真とかが披露されていたのはご愛嬌、今年の夏お亡くなりになられたとのことだが、暗く湿っぽいイベントにならなかったのは氏の人柄ゆえか。
それにしても、あの遺影、実に良かった。
恥ずかしながら、しまだ氏のことは寡聞にして知らなかったのだけれども、今後しっかり覚えておこうと思う。

氏の会社『イメージリングス』は氏の逝去に伴い、業務を終了するとのこと、何とも惜しい話ではある。
イメージリングスのような会社が担ってきた役割は、これからも重要になって行くと思うし、今回の閉鎖に伴ってそこに空洞が生じてしまうというのは実にもったいないというか、我がニッポンの映画業界にとって大きな痛手になるような気がする。
まあ、ビジネス上の問題とかその他もろもろ難しいポイントがあるのかもしれないけれども……。

ところで、イベントの最中、上映中の壇上で繰り広げられるディスカッションが、オーディオコメンタリーみたいで面白かった。パネラーの皆さんがそれぞれ勝手に何かを言っているようで、実は何気に程よい解説になっているという場面も多く。

ただ、傑作が途中カットされオムニバスみたいになっていたので、モヤモヤ感はぬぐえず、ちゃんと見たいという気分にさせられた。
しかし、である。

これはむしろ企画サイドの狙いだったようで、オーディエンスの“飢餓感”をあおり、将来のイベント、つまり“第4回”ガンダーラ映画祭などにつなげる目論見らしい。
私はまんまとそれに引っかかったクチということになろうか(笑)。

配られた作品集リスト、あれに載っている作品は宝の山といえよう。
ぜひとも全作品を見てみたい、漏れなく。絶対面白いと思うな。
2か月に1回、あるいは3か月に1回とか、定例の上映イベントに昇華させ、ひとつひとつの作品を順番に上映して行くとかできそうな気がする。
採算的にも……たぶん合う……か?

あの中のいくつかの作品は、海外のバイヤーも興味を示す可能性をも秘めていると思われる。日本文化を知る上で有効な作品もあるだろうし、そこまで大上段にふりかぶらなくても、単純に面白く楽しめるエンタメ作品がザクザクありそうな予感。

上映された作品同様、配布されたペーパー類がこれまた良かった。
しっかりきっちり作り込まれていて、日本映画を語る上で資料的な価値を持つ逸品に仕上がっていると思う。

第4回以降の開催が待たれるイベントである。

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※ 以下、イベント詳細(イメージリングスのウェブサイトより転載)。

90 年代〜のインディーズ映画シーンを牽引してきたしまだゆきやす氏率いるイメージリングス関連作品を特別上映!その他秘蔵映像・スチールなどからそのイン ディーズ映画史に残した大きな功績と影響を検証します!2012年に開催予定のイメージリングスアーカイブ上映の公開企画会議も開催!しまだが最後に愛 した男・梅澤嘉朗(童貞2号)のイメリン愛に満ちた新作も初上映決定!

【出演】村上賢司(映画監督)、柳下毅一郎(映画評論家)、桑原あつし(翻訳家/ライター)、那須千里(映画系文筆家)、直井卓俊(プロデューサー)ほか
【進行】多田遠志(ロフト秘宝番、ライター)

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